吉川 信一
セラミックスは日本が世界の最先端の技術を有している分野であり,その標準化は今後の我が国の国際競争力を高めるためにも非常に重要です.本特集は,JIS および ISO に関する近年のセラミックスの標準化に関する動向や事例について紹介します (特集担当委員:鈴木義和,菊池正紀,編集協力:日向秀樹(産業技術総合研究所))
駒木 秀明
ファインセラミックスの標準化の流れ,ISO/TC206(ファインセラミックス)関係JIS/ISO,ISO/TC150(外科用インプラント)関係JIS/ISO,今後の標準化の課題等について述べる.
阪口 修司
ISO/TC206(ファインセラミックス)は設置から約20年が経過し,現在,発行規格62件,審議中規格26件を取り扱っている.これまでの各種項目の審議内容を概観するとともに,最近の課題について解説する.
阿部 豊
第20回ISO/TC206総会,WGは,2013年10月に東京で開催される.総会,WGにおける審議予定の内容をまとめた.2013年の日本およびISO/TC206 Pメンバー国の新業務項目提案を中心に紹介する.
田中 啓介
気孔率が大きいファインセラミックス多孔体は機能性部材でありながら,構造部材として使用条件下での損傷に対する信頼性が要求される.ここでは,ファインセラミックス多孔体の力学特性の試験法標準化の活動について述べる.
林 亜希美
2010年11月にJIS2402「強化磁器食器に縁部衝撃試験方法」が制定された.この試験方法は振り子式の装置で強化磁器食器の衝撃強度を測定する方法である.制定までの経緯や規格内容を紹介する.
篠原 伸広
粉体,スラリー,顆粒等のファインセラミックス製造プロセスに関わる項目の特性評価および,成形体や焼結体において,特に製造プロセスに起因した微構造評価等に関する標準化の状況についてJISを中心に紹介する.
松村 隆
2012年にJIS R 1692として制定された“ファインセラミックス基板の熱疲労試験方法”の規格制定の背景,規格の概略として,熱疲労試験,4点曲げ強さ試験,残存強度比の計算,熱疲労によるき裂の観察等を紹介する.
竹内 浩士・平川 力・佐野 泰三
可視光応答形光触媒を含めてJIS化がほぼ完了した光触媒材料の試験方法について,これまでの国内・国際標準化の状況をまとめるとともに,諸外国の動きや今後の展望を示した.
永田 肇・木村 雅彦・一ノ瀬 昇
本稿では,準静的圧電正効果法による圧電セラミックスの圧電定数d33試験方法に関する標準化について,その背景や制定に向けたこれまでの経緯について述べた.
中岡 竜介
日本提案により2007年に設立されたTC 150/SC 7 は「再生医療機器」に関する国際標準化作業を担っているが,最先端技術を標準化しようとしているため,その標準化作業は難航している.その現状および課題と,課題解決の鍵となりうる要因を紹介する.
菊池 正紀
必要充分な生体模倣環境が検討された測定手法がないため,生体活性セラミックスの特性は工業製品に対する評価法で測定されている.本稿ではこれらを考慮した日本の生体活性セラミックスの国際標準化活動を解説する.
柘植 明
「計量」の信頼性確保において標準物質の果たす役割について述べ,現在日本で開発頒布されているファインセラミックス標準粉末について概説する.
藤田 秀紀
JFCCが現在,頒布している標準物質全般についての簡単な紹介を行うとともに頒布状況について紹介する.
中村 忠司