石川 敏弘
一般に,「ガラス」と言うとシリカを網目形成材の主成分としたケイ酸塩ガラスを指すことが多いのですが,特殊な用途のガラスには酸素の一部が窒素あるいはハロゲンに置換されたオキシナイトライドガラスやオキシハライドガラス,網目形成材が P2O5 で構成されたリン酸塩ガラスなどがあります.さらには酸素を含まない非酸化物ガラスとして,S,Se,Te などを網形成物としたカルコゲン化物ガラス,フッ化物ガラスを中心としたハロゲン化物ガラスなどもあり,光学用途などに多用されています.本特集では,一般的なガラスとは組成が異なった特殊ガラスの世界を紹介します. (特集担当委員:篠﨑泰夫,津田康孝,編集協力:黒岩 裕(旭硝子))
井上 悟
ガラスの組成からの分類とその性質の解説を通して,窓や食器などに使用されている身近なガラス,そして,特別な用途への応用を目的とした特殊ガラスについて紹介するとともに特殊ガラスの将来を展望する.
齊藤 敬高・中島 邦彦
本稿では,筆者らの研究グループにおいて近年行ってきたオキシナイトライドに関連する研究紹介と,ガラス・セラミックスの分野ではあまり知られていないと思われるナイトライドキャパシティーについて概説する.
武部 博倫・斎藤 全
多成分系リン酸塩ガラスのネットワーク構造の構成単位と耐水性の組成依存性を説明している.そのネットワーク構造からリン酸塩ガラスを2つのタイプに分類し,関連する機能および応用を紹介している.
吉田 昌弘・武井 孝行
エレクトロニクス産業の分野において,低融性,高流動性,低熱膨張性, 高耐水性を有する封着加工用鉛フリーガラスの開発が望まれている.本報では,バナジウム系鉛フリーガラスの研究開発動向について報告する.
角野 広平
カルコゲン化物ガラスの特異な機能について概観し,その中でも特に,赤外透過材料としての研究については,カルコハライドガラス,モールド成形やインプレス成形による高機能化,結晶化ガラスなどの最近の研究例を紹介した.
山下 直人・向井 孝志・坂本 太地・境 哲男
近年,Li イオン二次電池用の高容量負極材の開発が盛んに行われている.Sn-Sb 硫化物ガラスを負極材料として検討した結果,高容量かつ安定したサイクル特性を示すことが分かった.本稿では,Sn-Sb 硫化物ガラス負極の充放電特性に関して紹介する.
河本 邦仁
小寺 康博