岡田 清
現在,セラミックス系材料を使用した製品は通信機器,IT関連機器,家電,産業機器など,生活のあらゆる場面で使用される機器へ搭載され,その活躍の場を広げています.これらのセラミックス製品の発展は,性能向上や新機能発現のための材料開発とともに素材を加工しデバイス化する技術の進歩が無ければ達成され得なかったものと推測されます.特に近年のデバイス小型化,高機能化の要望に応えるために,従来では困難であった精密加工や表面改質を実現する新しい加工技術に著しい進展が見られています.本特集では,バルクセラミックス,ガラスの精密加工技術の最新動向について,その実例等を盛り込んでご紹介いただきます. (特集担当委員:江崎賢一,編集協力:野田俊成(パナソニック(株))
厨川 常元
The latest technology for high value manufacturing, and the generation of functional interface will be introduced.
角谷 均・原野佳津子
超高圧下の直接変換により非常に緻密な組織をもつ高硬度で強靱なナノ多結晶ダイヤモンドを開発した.この新規ダイヤモンドの優れた特性を述べ,これを工具としたセラミックス材料の超精密・微細切削加工の事例を紹介する.
青木 亨
3次元構造体を有する研磨材にて,砥粒,基材,結合剤の3つの設計因子に加え,立体構造の形状,サイズを選択でき,かつダイヤモンド砥粒を有し,研磨対象や用途・目的に応じた研磨性能を高度に,複雑にコントロールすることが可能な材料をご紹介する.
大森 整・片平 和俊・上原 嘉宏・伊藤 伸英・平井 聖児
ELID(ELectrolytic In-process Dressing)法は,セラミックスの高品位・高効率加工に対して,実用レベルでナノ表面を創成する新規な手法の実現につながっている.本稿では,ELIDによる鏡面研削について概説するとともに,特にセラミックスの鏡面研削効果とその事例を紹介する.
松村 隆
ガラスのエンドミル切削において,切削メカニズムと切削特性について述べている.また,それを実用化するために,ガラス切削加工機を開発した.応用技術として,多層型マイクロTAS等の加工事例を紹介している.
福澤 康
機械的加工法では困難な精密複雑形状を,絶縁性セラミックス材料に対して,放電加工法で行う最近の研究成果について,紹介した.特に,大面積加工,微細孔・溝加工等について説明した.
木戸 博康
Ybファイバーレーザーは優れた特性と経済性を併せもつ赤外線レーザーであり,短時間で微細な改質加工を可能とする.レーザー照射によりセラミックスの電気的性質を大きく改変させる改質法について述べる.
河口 大祐
内部吸収型レーザダイシング技術である「ステルスダイシング技術」は,その特長から次世代ダイシング技術として期待されている.本稿では,その技術説明と各種材料に対する加工事例を紹介する.
斎藤 修
セラミックス表面へのレーザ照射により改質を行ない超音波加工効率の改善を図る.加工時間を大幅に短縮することや工具摩耗の抑制が可能となった.
澁谷 紀仁
セラミックスをはじめとする硬脆材料の微細加工に適したマイクロブラスト工法について,基本的な装置構造や実加工例をご紹介する.また,本工法を応用したアプリケーションについてもご紹介する.
邱 暁明・田篠 文照
超音波振動を援用した加工技術は難加工材の加工に有効である.本稿では弊社で開発した2タイプの超音波振動を援用したダイシングソーを紹介した.また加工実例により超音波振動を援用したダイシング加工の優位性を明らかにした.
伊藤信一郎・山崎 恒裕・伊藤 守・小松 裕人
今回,Mn-Zn系フェライトコアの表面にガラスコートを施すことにより,直巻きかつ表面に電極形成が可能なコアを目指した.またフェライトコア材の応力特性に注目し,ガラスコートによる応力により特性が劣化しないMn-Znフェライト材を開発,Mn-Znフェライトによる小型インダクタの製品化を可能とした.
花田磨砂也・戸張 博之・松山 久好・森川 一文
従来不可能であった外径1.56m,内径1.46m, 高さ0.29mの超大型アルミナ円筒の製作に世界で初めて成功した.本品の製作においては,冷間静水圧成形(CIP)によるアルミナ紛体の成形プロセスを従来の外圧圧縮方式から内圧圧縮方式へ改良し,大型化を図った.さらに,焼成時のクラックを回避するための焼成温度制御技術を新たに開発するとともに,焼成時の変形防止のための治具や焼成形状を工夫した.製作後,アルミナ円筒の耐電圧および耐圧力試験を行い,要求性能(240kVおよび 0.9MPa)を満足することを確認した.この成果により,日本のセラミック製造技術の高さを国外に提示し,世界7極が参加するイーター計画の大型セラミック円筒の調達を日本が分担し,イタリアパドバに建設中のイーターNBI実機試験設備で使用する5体のアルミナ円管の製作を完了した.
石原 嗣生
希土類元素Gdのf-f電子遷移を利用した水銀フリーの新たな紫外光源の開発に産学官連携で取り組んだことについて紹介する.現在,ナローバンドUVB光源の特徴を活かした新たな紫外線皮膚治療器として製品化を目指している.
櫻井 修
これまでに筆者が行ってきたセラミック製造プロセス開発とセラミック教育活動について紹介する.
金子 勝
福島 学
岡田 隆典・田中 勝久・田中耕一郎
藤原 巧・山崎 芳樹・高橋 儀宏・井原 梨恵・寺門 信明