黒田浩太郎
前号に引き続き,国土強靱化政策に貢献しているセメント・コンクリートの材料技術について紹介します. (セメント部会 新 大軌)
坂井 悦郎
コンクリート構造物の長期耐久性を確保するセメント系材料の開発に関連して,主に単位水量を低減しコンクリートの耐久性を確保する観点からと特殊な環境での耐久性について概説する.
一宮 一夫
アルミナシリカ粉末とアルカリシリカ溶液の縮重合反応で固化するジオポリマー(GP)は,CO2発生量を削減できる新しいコンクリート用バインダーとして注目されている.本稿では,GPの研究開発の現状と課題を概説した.
樋口 隆行・盛岡 実
高機能かつ環境負荷低減に考慮したセメント系材料の開発を目的にポルトランドセメント(PC)-アルミナセメント(AC)-石膏-高炉スラグ微粉末(BFS)系での検討を行い,BFS含有量を50%としても優れた特性を得られることを示した.
ガラス部会では,今年がセラミックス誌50周年記念であることに加え,国際光年でもあることから,これまでのガラス科学,産業における日本の果たしてきた役割を振り返ると同時に,これからを展望するという意味で,いくつかのトピックスを選び寄稿していただきました.今日の科学,情報化社会および日常生活の中で日本がどのように貢献し,先端を走ってきたのか.また,今後に何が見えてくるのか.日本のガラス科学,産業の未来について役立つ特集になれば幸いです. (ガラス部会 矢野哲司・小松高行)
矢野 哲司・小松 高行
ガラスだからこそ得られる性質と究極の機能を引き出すプロセッシングの開発が,現在の高度化された社会の中でいかに大きく寄与し,世の中や人々の生活の利便性をどれほど向上させてきたかを改めて認識することができ,現代までの発展と未来の展望を垣間見られる特集となっている.
坂口 浩一
ここ50年の日本でのガラス製品開発は,製造技術の革新によるところが大きい.近年では地球規模の環境問題対応が大きな駆動力となっている.今後は産官学連携での基礎的な取り組みからの更なる発展に期待したい.
渡辺 稔・石川 真二
光ファイバ関連技術の50年間の進歩の中で,重要な技術である光ファイバの低損失化に向けた製造技術,光ファイバ増幅,ガラス光回路について概観するとともに,光ファイバに関する将来像について紹介する.
角野 広平
非酸化物ガラスであるカルコゲン化物ガラス,ハロゲン化物ガラスの研究開発について,共通の特性である「低フォノンエネルギー性」を軸として,主に1980年前後から今日までの展開をまとめるとともに,今後の展望について簡単に紹介した.
辰巳砂昌弘
イオン伝導材料のエネルギーデバイス応用に関する研究は,これまで日本が世界をリードしてきた.ここでは,ガラス系イオン伝導材料の応用を目指した研究の流れを紹介するとともに,この分野の今後を展望する.
藤原 巧
ガラスにこれまでにはない高機能性を付与する新たなアプローチとして,結晶化が期待されている.このガラス結晶化の因果律を基本として,結晶機能,透明性,配向構造について,光学応用に対する結晶化の可能性と限界を論じた.
伊藤 節郎
ガラスの高強度化は応用分野の拡大やエネルギー・資源・CO2削減のために極めて重要である.本稿では,ガラス強度の考え方,クラックの発生・成長のメカニズムおよびガラス強化に関する科学・技術のあゆみを概説する.
難波 徳郎・崎田 真一・紅野 安彦
ガラスは無害でリサイクルも容易なため環境に優しい材料といわれているが,特に製造時の環境負荷は必ずしも低いとはいえない.本稿では環境負荷低減の取り組み事例とともに,今後の技術的課題などについて紹介する.
伊勢田 徹
ガラス溶融の省エネルギー技術に関し各国の取り組みを50年前に遡って概観するとともに,将来につながる最近の省エネルギー技術を紹介する.
田中 修平
量子ビーム加工で新たな機能をガラスに付与した例として,ガラス内部に光情報処理他の立体像を形成する技術,表面をサブナノメートルレベルで平坦化する技術,厚さ75µmの極薄ガラスを強化する技術などを概説した.
上高原理暢
Benjamin Dierre