今月のオープンアクセス記事
提供:((株)ワールドラボ(研究室))池末 明生
「クリーンな粒界は常に極低散乱を示し,レーザー,ウインド,宝飾,レンズ等への応用が期待される.」
鶴見 敬章
R. L. Coble 博士による透光性アルミナの発見以来,透明・透光性セラミックスの開発が活発に行われてきました.特に,近年の原料粉体の設計や製造技術の発展は目覚ましく,さまざまな透明・透光性セラミックスが実現できるようになり,また,単結晶では実現できないサイズの部材も製造可能になるなど,多結晶体ならではの特徴的な製品も製造されるようになり,多結晶セラミックスは,レーザー材料,LED 照明用蛍光体,レンズ,シンチレータ,生体材料などへの広範な応用が可能となっています.本特集では,透明・透光性セラミックスの分野でご活躍中の先生方に,製造から応用に至る最近のトピックスをご紹介いただきます. (特集担当委員:佐藤和好)
池末 明生
多結晶透明セラミックスは光学単結晶と同等以上の光学性能を示す時代となった.固体レーザーはパワーを含む機能面で,セラミックスの特性優位性がある.なぜ光学グレードセラミックスの開発が困難であったかの理論と現実の矛盾点を解説する.
八木 秀喜・柳谷 高公
本稿では,セラミックスレーザー材料を中心に,光機能性透明多結晶セラミックスの特性および製法の概要,ならびに技術トレンドを紹介する.
田中 諭
高磁場中コロイド成形と高密度焼結を用いた異方性結晶での透明結晶配向セラミックスの開発について解説する.光透過性と機能を両立した単結晶のような多結晶セラミックスを合成できる.
伊藤 暁彦・後藤 孝
通電焼結法は,常圧焼結法や熱間等方圧加圧法に替わる透明セラミックスの高速合成法として注目される.本稿では,通電焼結法による透明セラミックス合成の低温化・高速化とレーザー発振に関する研究成果を紹介する.
高橋 拓実・多々見純一・横内 正洋
高出力LED照明のボトルネックの一つは,蛍光体関連部材の耐久性の欠如である.これを解決するために,蛍光体そのものを透明なバルクセラミックスとすればよい.本稿では,筆者らが開発した透明蛍光SiAlONバルクセラミックスの一部について紹介する.
柳田 健之
無機透光性セラミックスはさまざまな分野での利用が開始されているが,放射線計測用途もそのような応用の一つである.本稿では,無機透光性セラミックスのシンチレータ,ドシメータ応用に関して概説する.
山下 勲
立方晶型高透明ジルコニアセラミックスおよびランタン添加高透光性・高強度ジルコニアセラミックスを取り上げ,光学的,機械的特性を紹介する.またMie散乱理論を用いた透明・透光性セラミックスの基本的な材質設計について言及する.
上田 純平・許 健・田部勢津久
立方晶ガーネットの利点を利用し,Y3Al2Ga3O12(YAGG):Ce3+-Cr3+の組成において,透光性セラミックス長残光蛍光体という新しい光機能性材料を世界で初めて報告した.この透光性セラミック蛍光体は,体積効果により残光輝度を試料厚みで著しく向上させることができる.この透光性セラミックス蛍光体の長残光特性について紹介する.
安原 亮・古瀬 裕章
本稿では,高出力レーザー用ファラデーアイソレーターとして利用可能な透光性磁気光学セラミックスであるTGGセラミックスの諸特性と,最近の磁気光学セラミックスの研究動向について紹介する.
金高 祐仁・呉竹 悟志
透明セラミックスの屈折率と分散特性について調べ,種々の特性を有する材料を得ることができた.さらに広帯域発光を示す透明セラミックス蛍光体を得ることができた.本稿ではこれらの研究の一端について紹介する.
岩渕 雄太
大島 祐一