平尾 一之
小久保 正
生体活性結晶化ガラスA-W,生体活性を評価する擬似体液,化学・加熱処理による金属表面への生体活性層の形成と,その医療機器への応用.
本特集では,セラミックス材料の分野で大学,企業,研究所などで活躍されている若手の研究者の方に,ご自身の研究内容や今後の抱負・展望を紹介いただくとともに,セラミックス材料研究に関する問題提起や期待などについて自由な意見を書いていただき,5年後,10年後のセラミックス材料科学の姿や進むべき方向性,あるいは再考すべき事柄など,議論の一端を担えることを期待するものです. (特集担当委員:羽田政明)
薮塚 武史
擬似体液のpHや温度を上昇させると,溶液中にリン酸カルシウムの微粒子(アパタイト核)が析出する.筆者らはアパタイト核を用いた金属やポリマーへの生体活性付与技術の構築や,内包薬物の徐放性を目指したアパタイトカプセルの開発を通して,生体内で多様な機能を発現するセラミックバイオマテリアルの開発を展開している.
飯島 志行
ナノ粒子を含む各種微粒子の液中における分散状態や集合構造の制御技術の視点から,複合材料の微構造制御と機能創出を目指した筆者らのこれまでの検討事例を紹介する.
安井伸太郎
ペロブスカイト型強誘電体は約70年の歴史を持ち,その非常に優れた特性を示すことからさまざまな応用に展開されてきたが,未だペロブスカイトに依存している.強誘電体材料設計の指針について幅広い知見を得るために,これまで行ってきた研究について紹介するとともに今後の強誘電体の可能性についても議論したい.
長谷川丈二
無機塩とキレート剤を用いたチタニアのゾル-ゲル反応とチタニア多孔体の作製法について紹介し,溶液処理によるチタニア材料への微細構造の導入手法について解説する.加えて,得られた多孔質材料の応用例についても述べる.
三村 憲一
産総研ではこれまでに誘電体ナノキューブの3Dボトムアップ技術の開発に注力してきた.本稿では,チタン酸バリウム (BT) 系ナノキューブ (NC) の3D集積体の開発とその高い誘電特性や今後の展開性などについて紹介する.
後藤 知代
水酸アパタイト(HAp)はバイオセラミックスとして知られるとともに,浄化材料や触媒としての応用も研究されている.本稿では,筆者のHApに関するこれまでの研究とHApを触媒担体とした光触媒の水熱合成に関する研究について紹介する.
片山裕美子
高い信号雑音比で生体イメージングが期待される赤-近赤外長残光蛍光体について,Cr3+賦活LaAlO3ペロブスカイトを例にとって残光発現と高輝度化への取り組みを紹介する.
梅田 隼史
耐熱性とプロトン伝導性に優れた固体高分子形燃料電池用無機-有機ハイブリッド電解質膜を,ゾル-ゲル法と簡単な有機反応を組み合わせた手法により合成した例について述べる.
岸 哲生
ガラスにCWレーザーを集光照射することで局所的に加熱し,軟化温度以上になったガラス融体の表面張力が誘起する形状・形態・組成変化を利用して光機能性素子を作製するプロセスの開発について述べる.
山本 柱
環境・エネルギー問題への関心が高まる中,ガラス産業における環境負荷低減や省エネルギーへの取り組みは価値あるものと考える.本稿では,プラズマ複合排ガス処理技術と未利用エネルギー回収技術を紹介する.
小林 亮
筆者が実施してきた水を反応場としたセラミックス合成研究の中で,水熱法を用いた酸化チタン多形とマグネタイトの結晶成長制御およびシミュレーションを併用した結晶成長機構解明に関する成果を紹介する.
草野 大・田辺 元・田邉 恵介
近年,パワーデバイス用の放熱基板材料として窒化ケイ素材料が注目を浴びているがその熱伝導率は十分ではない.そこで筆者らは原料・組成・プロセスの最適化を検討し,高強度・高熱伝導窒化ケイ素の開発を行った.
赤田 修一・大和 貴充・宮本 二郎・中尾 泰昌
開発した自動車用ガラスが車内の快適性を向上し,今後もガラスによってプラスの価値を提供していくことで自動車社会に貢献する所存である.
森 泰一郎・田原 和人・宮口 克一・山本 賢司
新たにコンクリート硬化体中で自由塩化物イオンを陰イオン交換から固定化させるセメント水和物を生成して塩害劣化を抑制するセメント混和材(塩素固定化材)を開発・実用化した.
目 義雄
竹内あかり