鈴木 久男
島ノ江憲剛
半導体ガスセンサの物性解明,機構解明への基礎研究および,そこから得られた指針に基づく高性能化への挑戦について解説する.
毎年1 兆個(1 トリリオン個)のセンサを活用する「トリリオン・センサ社会」を実現しようという動きが活発化しています.医療やヘルスケア,流通,社会インフラなどのあらゆる部分にさまざまなセンサを付加し,モノのインターネット化によって,センシングしたデータを社会や生活に役立てていこうという動きです.セラミックスを用いた化学センサも,従来の安全・安心に貢献するガス警報器だけでなく,健康・環境の分野や,より快適な暮らしや持続可能な社会の構築に期待が高まっており,小型化,省エネ化,モバイル端末やウェアラブル機器への実装化が求められ,その実現には,セラミックス材料の基礎的な理解と,その機能を最大限に引き出した高性能化,デバイス応用への課題の解決が必要です.本特集では,センサ材料設計のセラミックスレビューに続き,最近のデバイス応用に向けた取り組みを紹介します.(特集担当委員:齋藤紀子)
鈴木 卓弥・村田 尚義・大西 久男・野中 篤
世界初の電池式家庭用都市ガス警報器を実現した超低消費電力MEMSガスセンサについて,①感ガス材料であるSnO2の薄膜化,②選択性付与のための選択酸化触媒層の開発,③超低消費電力化のためのMEMS構造の開発,の3つのポイントを中心に解説する.
伊藤 敏雄・申 ウソク
呼気には微量ながらも疾患と関連する成分が含まれるため,簡便なスクリーニング検査に用いられることが期待されている.本稿では,呼気VOC検知器と呼気水素検知器の試作品の開発事例を紹介する.
兵頭 健生・清水 康博
ガスセンサの高性能化には,その組成や表面性状,微細構造などを最適化することが必要である.本稿では,ガスセンサ材料の幅広いオーダーの細孔構造をボトムアップ的に制御する手法とその効果について概説する.
清水 陽一
環境ガス・イオンセンサ開発のために,化学センサの設計コンセプトからシンプルな固体素子を提案した.固体電解質をトランスデューサとして交流インピーダンス変化を検知信号とする新型のガス・イオンセンサを構築できることを見いだした.
末廣 智・高橋 誠治
本稿では,近年取り組んでいる噴霧熱分解法を用いた多孔質球状粒子の調製およびその粒子を用いたセンサ特性について,La0.8Sr0.2MnO3を用いたジルコニアセンサを研究例として紹介する.
川喜多磨美子
センサモジュールで大きなウエイトを占める通信に着目し,センシングした情報を通信する手法を紹介する.
王 秀鵬