大司 達樹
少子化,理科離れが大きな社会問題となる中,いかに将来有望な人材をセラミックス分野に呼び込み育て上げるかが,今後,セラミックス分野の更なる発展を司る鍵となっています.また,すでにセラミックス関連分野で活躍しつつある学生・大学院生のやる気・モチベーションを一層高め,魅力ある優れた人材として社会に送り出すことが求められています.2010年4月号掲載の「セラミックスと教育」特集,および,2013年11月号掲載の「セラミックスと教育(2)」特集では,日本セラミックス協会・教育委員会の協力の下で,小中学校から高校教育,学部教育,大学院教育,さらに社会人教育にいたるまで,さまざまな魅力のある取り組みを紹介してきました.本特集では,最近の年会・教育セッションで報告された高大連携,地域連携,国際連携の取り組みを中心に,「セラミックスと教育」関連分野の進展を紹介いたします. (特集担当委員 鈴木義和)
田中 功
日本セラミックス協会教育委員会の最近の取り組みについて紹介する.
田中 功
小中高校の児童・生徒を対象とした結晶の溶解・析出や成長に関する教材を目的としてストームグラス(天気管)の作製について解説し,第23回高校課題研究フォーラムでの実践を紹介する.
樽田 誠一
信州大学工学部では地域の高校7校と連携した体験実験講座をここ数年実施しており,長野県屋代高等学校との連携講座の中で,2016年度に実施した体験実習を紹介する.
桐原 聡秀
大学近隣の高校との連携を基盤とした,インターンシップ方式のオープンキャンパス事例も増えてきている.大学内研究施設の特色を生かした,高校生向けの教育プログラムについて紹介する.
八島 正知
高校化学の教科書等における,金属の結晶構造とブラベー格子の混在,「アモルファス」の名詞としての使用,結晶系の名称,二酸化ケイ素の化学結合,用語「自由電子」と金属結合の定義等の問題点と修正案を議論する.
米田 美佳・石田 尚之・寺西 貴志・中西 真
青少年の科学的関心を惹きつける上で「色」は効果的なテーマの一つである.本研究では、これまで焼成に時間がかかることから科学啓発活動のテーマとして取り上げられてこなかった,無機顔料の短時間合成法を開発した.
平 靖之
ある程度長期にわたり学習・実験を行う,中学生を対象とした早期研究体験講座を実施している.高専で利用している研究設備や測定機器を積極的に使用させ,中学校や高等学校では体験できない講座の実施を目指した.
鈴木 達・打越 哲郎
物質・材料研究機構(NIMS)では毎年4月の科学技術週間に合わせて研究所の一般公開を行い,土曜日には小学生,中学生向けに青少年企画を,また北海道から沖縄まで日本全国からの高校生の研究所見学,体験学習も随時受け付けており,さまざまなプログラムを用意している.これらに加え,筆者らが中心となって行っている強磁場の見学,ファンデーションの作製,CIPを用いた実験による圧力の体験学習等について紹介する。
中村 有里
筆者らは,5年前から他国言語を用いた国際化学実験教室をアジア中心に行ってきた.国内で,岡山(ローカル)で世界(グローバル)を感じる“グローカル”な活動と取り上げているこれらの取り組みを紹介する.
鈴木 義和
本稿では,無機材料科目のリニューアルと講義での工夫を紹介する.また,後半では全国の大学で無機材料の講義に使われている教科書・参考書の現状を調査した結果(中間まとめ)を併せて紹介したい.
一木 正聡・長縄 竜一
研究推進組織である産総研においては,10年前より産総研イノベーションスクール事業を運営してきている.ここでは,若手博士人材の育成事業について紹介するとともに,その現状、効果と修了後の活躍の様子を最近の取り組みとともに紹介する.
吉野 彰
岡田 拓磨