和田 宏明
アンモニアは窒素系肥料,食品や医薬品などの原料として幅広く利用され,我々が生きていく中で必要不可欠な物質である.また,エネルギー分野においては,質量あたりのエネルギー貯蔵密度が高く,液体として運搬できることから,燃料電池などのキャリアとして注目されている.本特集では,セラミックスを基盤とした,「ハーバーボッシュ法に代わる,アンモニア合成技術」,「アンモニアによるエネルギー分野への新たな展開」について紹介する. (特集担当委員:藤田 悟)
細野 秀雄
アンモニアの重要性、合成の歴史、平衡と触媒、そしてグリーンアンモニアについて概略を示す。
細野 秀雄
金属を担持したエレクトライド(電子化物)の触媒としての特徴を、その電子状態から解説する。また、概念の拡張による新しい展開についても紹介する。
小林 洋治・唐 亜・曹 禹・陰山 洋
アンモニアがエネルギーキャリアーとして注目されている中、その合成を担ってきたHaber-Bosch反応の触媒に関しても、近年目覚ましい展開が見られている。さまざまな新しい触媒の中には多くのヒドリド系触媒も含まれている。これらは従来触媒と比べて、高い活性や特異な反応メカニズム、不活性と思われた元素での活性を示しており、今後の動向も身離せない。
佐藤 勝俊・永岡 勝俊
近年,エネルギー/水素キャリアとしてのアンモニアを再生可能エネルギーベースで製造するプロセス・触媒の実現に期待が集まっている.本稿では温和な条件下で優れた性能を示す希土類複合酸化物担持Ru触媒について紹介する.
里川 重夫
アンモニア電解合成に関してセラミックス系電解質を利用した電解セルの構造と反応試験結果に関する概要と熱力学的考察を述べた.水電解と触媒反応の一体化への取り組みについても言及した.
押切 友也・三澤 弘明
本稿では,局在表面プラズモンを用いた光アンモニア合成のメカニズムと,光アノードとしてモード強結合を示す金ナノ微粒子/酸化チタン/金フィルム構造を用いた光アンモニア合成に関して紹介する.
難波 哲哉・壹岐 典彦
再生可能エネルギーを有効に利用するために、エネルギーキャリアとしてのアンモニアの活用が期待される。本稿では、再生可能エネルギー由来の水素からのアンモニア合成、ならびにアンモニアによるガスタービン燃焼に関する研究について紹介する。
日隈 聡士
NH3はカーボンフリーな石油代替燃料として注目されているが,燃焼器へ利用するためには燃焼生成物がN2とH2Oのみであること,かつ燃焼開始温度の低下が求められる.この問題を解決するためこれまで触媒燃焼に着目し,CuOx/ムライト触媒が高性能を示すことを明らかにした.本稿では,その触媒特性とNH3燃焼触媒の利用法について紹介する.
江口 浩一
アンモニアを燃料とする固体酸化物形燃料電池の開発を行ったクラッキングあるいはオートサーマルクラッキングとSOFCスタックの組み合わせについて検討した。アンモニアを直接SOFCスタックに導入して1kWの発電に成功した。
小島 由継
アンモニアから高純度水素製造の要素技術を開発し,H2純度>99.98%,NH3<0.02ppm,N2<1ppm、水素精製効率(水素回収率:高純度水素量/アンモニアに含まれる水素量)90%,水素変換効率(アンモニアから水素への変換効率)80%を達成した.
服部 晃世・築地新 歩・日浦 知耶・園山 裕康
松本 毅