田中 功
古くは陶磁器の窯変にも知られるように,セラミックスプロセスの雰囲気制御は高品質な材料を得るための重要な技術です.最近では,酸窒化物・酸水素化物などの非酸化物材料への期待やプロセスへの環境負荷低減の要求などが背景となり,雰囲気制御はますます重要となってきております.本特集では,種々の雰囲気が生み出す新材料やさまざまな効果・機能について紹介します. (特集担当委員:堀内尚紘)
橋本 雅美・小川 貴史・北岡 諭
生体用チタンを低酸素分圧下の窒素雰囲気中で熱処理し、酸化チタン中に導入される窒素含有欠陥の種類と表面特性(表面電位)および骨成分である水酸化アパタイト形成能、骨芽細胞活性能との関係を明らかにしてきたので紹介させて頂きます。
小澤 隆弘
加熱反応場へ水蒸気を導入すると,固体内,固体間での反応が大幅に加速される.本稿では,水蒸気焼成に伴う生成粒子のサイズや形状等の微構造への影響を中心に紹介し,新機能創出に向けた材料合成における積極的な水蒸気導入について述べる.
手嶋 勝弥・山田 哲也・影島 洋介・錦織 広昌・寺島 千晶・是津 信行
溶液からの結晶育成の一種であるフラックス法を用い,結晶成長場雰囲気を制御することで,特長的な(酸)窒化物結晶を育成した。可視光応答型光触媒としての機能を引き出すために,超空間構造や表界面をデザインした。
竹入 史隆・小林 玄器
近年ヒドリドイオン(H-)を含む酸化物、すなわち酸水素化物が、新たな機能性材料として注目を集めている。本稿では、筆者らが注力しているH-導電性酸水素化物の物質探索について紹介する。
本橋 輝樹・田村紗也佳・新井 健司・齋藤 美和
複合金属酸化物ではわずかな化学組成・結晶構造変化により特性が大幅に変化する可能性がある。本稿では、合成雰囲気の精密かつ広範囲制御による複合金属酸化物の機能性向上・付与の実例を紹介する。
草野 圭弘
備前焼は,無釉で絵付けも行われないが,登り窯で焼成した作品には様々な色彩が現れることから「土と炎の芸術」と称される.備前焼の色彩には焼成時の雰囲気が大きく関与している.生成相と色調に及ぼす雰囲気の影響について,これまでの研究結果を紹介する.
保科 拓也
SrTiO3やBaTiO3の単結晶をアンモニアガス雰囲気下で熱処理すると,熱処理前と物性が大きく変化する.本稿では,アンモニアガス中熱処理によって合成した酸窒化物誘電体,新奇な透明半導体の電気特性を結晶構造やナノ構造の観点から説明する.
大橋 直樹・瀬川 浩代・大沢 祐太
原料ガスを流通させる事例、特に、アンモニアを使った窒化反応を取り上げ、炉内雰囲気の計測とその結果を活用した酸窒化珪素ガラスの合成などの実際の研究・開発事例を紹介する
鈴木 義和
大司 達樹