内藤 牧男
DX(デジタルトランスフォーメーション)が急激に進んでいると共に,セラミックス研究開発および特性評価に対する理論計算や計算機シミュレーションの重要性が増加しています.本特集では,2019年7月の特集「計算材料設計最前線2019」および2020年9月の特集「計算材料設計最前線2020」に続いて,最先端計算手法やシミュレーションソフトウェア開発を含め,原子・電子レベルからマクロレベルまでのセラミックス材料とその現象に関する様々な最新の研究成果を紹介していただきます. (特集担当委員:クレイグ・フィッシャー(JFCC))
小谷 岳生
LDAを超える手法である準粒子自己無撞着GW法(QSGW法)について解説する.QSGW法によるバンドギャップなどの計算結果を概観したのち誘電関数,インパクトイオン化率,スピン揺らぎなどの計算例を示す.
レービガー ハンネス・ベ ソンミン
半導体における伝導キャリアが広がっているか束縛されているかは外場によって制御できることは最近理論予測された。本論文はその現象の基礎理論及び具体例について紹介する。
小林 亮・中野 高毅・中山 将伸
固体電解質材料の古典分子動力学を行うための高精度な原子間力場を効率的に構築する方法を開発した.本手法により,1日程度で新規材料の分子動力学シミュレーションが可能となる.
三澤 賢明・島村 孝平・下條 冬樹
近年,第一原理計算データと人工ニューラルネットワーク(ANN)を用いた機械学習に基づく分子動力学(MD)法が注目を集めている.本稿ではこのANN-MD法の概要と,固体材料に対する衝撃圧縮挙動に適用した研究事例を紹介する.
松本 潮・小川 貴史
欠陥蛍石型酸化物Yb2Ti2O7における配置探索により得られた構造と,A2B2O7(A=Lu3+,Yb3+,Er3+,Ho3+,Dy3+,Tb3+,Gd3+,Eu3+,Sm3+,Nd3+,Pr3+,La3+,B=Sn4+,Ti4+,Hf4+,Zr4+)組成におけるその構造の構造安定性について解説する。
日沼 洋陽・清水 研一・蒲池 高志
金属酸化物表面における酸素欠陥の生成と欠陥上での分子吸着、実験で実現可能な準安定表面の特定、酸化物担体上の金属ナノロッドの吸着を例に、理論計算・機械学習による触媒能の予測を目指した萌芽的成果を紹介する。
菊地 諒介・熊谷 悠・大場 史康
次世代の光電変換材料として、欠陥がキャリア寿命に影響を与えにくい、すなわちdefect-tolerantな半導体が注目されている。本稿では、第一原理計算による光電変換材料の探索について、SrZn2N2の最安定結晶構造の探索から基礎物性・点欠陥特性の理論予測を例に解説する。
川浦 正之・大谷 優介・久保 百司
本稿では, セラミックス摺動材料として広く用いられる炭化ケイ素の水環境下における低摩擦現象のメカニズム解明と, 耐荷重性向上に向けた, 分子動力学シミュレーションを用いた材料設計の研究を紹介する。
森 勇稀・酒井 幹夫
セラミックス成形加工に係わる粉体プロセスのサイバー空間の構築に向けたコンピュータシミュレーションの基盤技術として,著者らのグループで取り組んだ粉体・混相流の数値シミュレーションの研究成果について紹介する.
東藤 貢
医療用CT画像を利用した骨の力学解析法の研究が進み、患者毎に骨・関節の各部位の強度評価を行い臨床応用することが可能になってきている。本稿ではCT画像を利用した骨解析法の基礎と臨床応用について概説する。
佐藤 幸生