田中 宏
2050年のカーボン・ニュートラルの実現のためのキーテクノロジーとしてセンシング技術があります.本企画では,水素エネルギーや再生可能エネルギーに関わるセンシングおよび関連技術を中心とした最近研究開発動向について,デバイス,材料,製造技術,検知特性,用途開発など基盤技術について大学や企業の研究者にご紹介いただきます. (特集担当委員:板垣吉晃・堀内尚紘)
岡崎 慎司・石飛 亘・笠井 尚哉
光ファイバセンサは,他方式にないユニークな特徴を有しており,水素インフラ用漏洩検知システムを構築するための要素技術として有望である.本解説では,光ファイバ水素センサの種類及び分布型センサシステム構築に向けた課題等について概説する.
板垣 吉晃
水素漏洩検知技術は安全・安心な水素社会を構築する上で必要不可欠な技術である.水素は拡散係数が極めて大きいことから,漏洩した水素は空気により希釈され瞬時に濃度が低下する.したがって,極低濃度の水素を短時間で検知する技術が必要である.本稿では,水素を選択的に吸着することができる窒化ホウ素をセンサ電極の補助層として用いた水素検知の我々の研究について紹介する.
小畑 賢次・松嶋 茂憲
カーボンニュートラルの実現には,大気環境の変化を正確に捉える必要があり,そのためには,CO2センサの多地点計測による濃度監視が不可欠である.本稿では,p型酸化物半導体を用いたCO2センサの開発について紹介する.
丸尾 容子・浅沼 光吾
窒素サイクルはCO2を排出しないエネルギー機構として注目されており,窒素サイクルに組み込まれる大気中の窒素酸化物としてNO及びNO2がある.本稿では多孔質ガラスを基板として用いた窒素酸化物のセンシングについて我々の研究を紹介する.
申 ウソク・鶴田 彰宏・松原 一郎
熱電変換原理とガス選択性に優れた触媒材料を活用した熱電式水素センサを開発した.水素ステーション及び車載用センサに求められる性能と開発したセンサの特長を解説するとともに呼気計測等のシステム応用を紹介した.
井手 慎吾・渡邉 賢・末松 昂一・島ノ江憲剛
高い酸化物イオン伝導性を有するオキシアパタイト型ランタンシリケート固体電解質を用いたCO2ガス,COガスセンサの設計およびその特性について解説する.
兵頭 健生・上田 太郎・清水 康博
様々な一酸化炭素センサが実用化されているなか,電解質や電極にセラミックス材料を利用した室温作動できる2種類の電気化学式一酸化炭素センサについて紹介する.
猪股 雄介・木田 徹也
本稿では半導体式ガスセンサの特徴と,センサ材料の調製法,センサの高感度化・低温作動化を目指した新規材料開発,またoperando分光法を用いたセンシング機構解析について最近の研究成果を紹介する.
田村 真治・今中 信人
酸素貯蔵放出能と酸化物イオン伝導性に着目した触媒を用いることで,低温で作動する接触燃焼式センサを創製した.本稿では,その実例と開発指針について記述する.
GUEGAN Régis
中島 光一
前浪 洋輝
水野高太郎