服部 明彦
マテリアルズ・インフォマティクス(MI)とプロセス・インフォマティクス(PI)は,材料開発の設計から合成,製品化に至る各段階において導入が進んでおり材料選定から製造方法探索の高速化・高効率化と戦略的な研究開発を可能とする手法として注目されています.本誌では2015年7月号に「マテリアルズ・インフォマティクス」特集を企画するとともに,協会においても2022年度よりインフォマティクス研究会が発足し,MIおよびPIはセラミックス材料研究に変革を起こしつつあります.本特集では,セラミックス研究を変貌させるMIおよびPIの最新の研究動向について紹介いたします. (特集担当委員:後藤知代・町田慎悟・大熊 学・赤松寛文,編集協力:申ウソク(産総研)・セラミックスのためのインフォマティクス研究会)
申 ウソク
今からインフォマティクスを始めたいセラミックスの研究者のために,様々なAIツール,人材育成,データベース,自動化等の例を紹介する.
山口 雄大・中山 将伸
深層学習を用いて既知材料の分布を2次元空間上に可視化した.これを材料地図として,データベースにない新材料の探索をサポートするアイデアについて紹介する.
金子 弘昌
材料データを用いてデータ解析・機械学習により数理モデル化することで,モデルに基づいて未知の材料・プロセスを設計できる.本記事ではデータサイエンスにより高機能先端材料の研究・開発・評価・製造を支援する方法およびセラミックス材料への応用事例について解説する.
保科 拓也
我々のグループが取り組んでいるマテリアルズインフォマティクスを活用したペロブスカイト型強誘電体の研究に関して,①強誘電性の決定因子の解明,②複合アニオン化合物強誘電体の探索に関して概説する.
山田 大貴・尾原 幸治
放射光を用いた非晶質構造解析の現状及び,機械学習ポテンシャルを逆モンテカルロ法(RMC法)に組み合わせることで放射光測定データを満たしつつエネルギー的に安定な非晶質構造をモデリングする新しいアプローチに関して紹介する.
熊谷 悠
近年,計算技術の向上に伴い第一原理計算を用いた計算物性をDB化する取り組みが盛んに行われている.本稿ではこの計算材料DBの特徴を示すとともに,既存のDBや我々の酸化物DBを紹介する.
緒明 佑哉・五十嵐康彦
MIでは,一般に大規模なデータが必要とされる.本稿では,実験研究者の視点から,層状物質のはく離によるナノシートの生成における収率向上やサイズ制御を例に,小規模データへのMIの適用事例について紹介する.
木村 禎一・寺坂 宗太
ファインセラミックス部材の製造プロセスは複雑で,プロセス設計および最適化のためのインフォマティクス(情報科学)活用が期待されている.本稿では,プロセスシミュレーション技術を中心に,プロセスインフォマティクスの実現に向けた取り組みを紹介する.
山田 哲也・林 文隆・手嶋 勝弥
近年我々は,フラックス法にプロセス・インフォマティクス(FPI)を導入することで,効率的かつ自在な結晶制御を目指している.今回,FPIの核心的要素技術である適用的実験計画法,フラックス反応判別およびハイスループット実験自動化の取り組みについて報告する.
山口 祐貴
化学反応を利用して室温近傍で高密度なバルクセラミックスを製造するプロセスを開発し,プロセスインフォマティクスを活用することにより,効率よく工程の最適化を図ることに成功した.また特徴量解析をすることで,製造工程の各パラメーターの重要度を客観的に知ることが可能で,新しい知見を得ることが可能であった.
松本 淑京・山中 克之
中島 武彦
寺前 充司
勝又 哲裕
漆原 大典