渡邉 修
セラミックス部品の特性を引き出すためには,電極が不可欠である.デバイス形態や使われ方などにより,要求される電極や形成方法は多種多様なため,広範な知見に基づく,電極が必要である.セラミックデバイスの小型・高機能・高信頼化には,電極や形成方法の進化が重要な役割を担ってきたのだが,あまり取り上げられてきていない.そこで,本企画では,セラミックデバイスに係る,広範な電極関連技術を特集した.電極粉体,形成プロセス,ペースト材料,メッキ,電極が及ぼす影響や実装信頼性にまで包含した内容とした. (特集担当委員:古賀英一)
斎藤 彰
セラミックス電子部品の外部電極に発生するSnウィスカの発生メカニズムを試験規格と共に示し,今後発生し得る電子部品の小型化や低温実装によるSnウィスカ発生のリスクについて,JEITAでの実験結果に基づいて予測した.
栗原光一郎
LTCC積層部品は,内部配線抵抗が低いという特長を備えている.積層部品では,内部電極を挟むシートが変形する(凹む)ことにより,内部電極厚さを吸収できるシート特性が求められる.外部電極は,基板の2主面の外部電極も同時焼成が必要となり,外部電極とセラミックス界面強度の向上が進められた.
松岡 康司
リチウムイオン電池の高エネルギー密度化が進む中,安全性対策設計がより重要になってきている.本稿では著者らが開発したインクジェット印刷技術を用いて電極上に直接絶縁膜を形成するインク処方や工法について紹介する.
松本 太・杣 直彦・中村 奨・安東 信雄・福西 美香
リチウムイオン二次電池に直径20μm程度の貫通孔を100-250μm間隔でレーザーを用いて加工を行うことで,電極の入出力特性,サイクル特性などが向上し,さらに電池のエネルギー密度を向上させる二次的な効果も実現できることを見出した.レーザー加工装置の開発および電極の三次元構造についての結果についても紹介している.
岡本 芳樹
各種電子デバイス用電極ペースト等に用いる材料としての有機貴金属化合物について,代表的な化合物の概要の説明およびそれらの特徴と有機貴金属化合物単独,添加物として用いた場合の使用例を紹介する.
鈴木 伸寿・川久保勝弘
セラミック部品の多くは,導電性粒子を有機バインダーに分散させた電極ペーストを塗布,焼成して電極を形成している.本稿では,ペーストの原料と製法,電極の製膜法と代表的な電極ペーストの特徴について解説した.
加藤 夕子・川瀬 優貴
本稿では,接合用途への適応を目的として開発した高耐熱樹脂銀ペーストの耐熱性,柔軟性,導電性,接合性に関する結果及び技術を紹介する.
齊藤 敢
ニッケル超微粉は積層セラミックコンデンサの内部電極用材料として利用されている.ニッケル超微粉の製法の一つであるCVD法には粒子が球形で結晶性が高く内部電極の高密度・薄層化に適するという利点がある.
南谷林太郎
チップ抵抗器の硫化銀ウィスカに注目し,その腐食メカニズム,チップ抵抗器の寿命推定について説明する.つぎに延命対策としてコーティング処理を採用し,コーティング処理したチップ抵抗器の寿命推定について説明する.さらに寿命推定に必要な設置環境リスクの測定方法を紹介する.
平山 雄祥・岩倉 哲郎
低弾性,高伸び性,プリント基板に求められる絶縁信頼性,高耐熱性等の高信頼性を有する低弾性プリプレグを基板の表層に配置することで,はんだ接合部への応力を緩和してはんだクラックを抑制することが可能となる.
野口 義文
笹井 亮
大槻 史朗
赤松 允顕