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特集　製品強度・信頼性向上・新たな機能付与のための粉体～焼結技術

焼結は成形した粉体を加熱して複雑形状部品を製造するための基幹技術である．また，セラミックス製造プロセスにおける最大の課題は，製品の強度信頼性と寸法精度の保証と考える．セラミックスは脆性材料であるため，数十μｍの大きさの表面傷や内部欠陥から破壊が生じる．これらの欠陥は，焼結中に空隙や気孔が発生・成長することにより生じるため，製品の強度信頼性を向上するには，焼結中の内部欠陥の発生と成長を理解し，それを抑制する原理を見出す必要がある．本特集では，粒子充填の不均一性の階層構造が焼結にどのように影響するのか？欠陥形成を抑制・制御する充填構造を提案できないか？粉体設計によって新たな機能を付与するセラミックスの創出は出来ないか？というところにスポットを当てて紹介する．　（特集担当委員：和田琢真・大熊　学・新田法生）

■ 粉体の構造制御による材料特性の向上と高機能化

内藤　牧男・近藤　光・小澤　隆弘

本稿では，材料特性の向上と高機能化に寄与する粉体の構造制御と，個々の粒子の構造制御の重要性について説明する．前者では粒子集合体中の不均質構造制御に，後者では複合粒子設計に着目して具体的な解説を行う．

■ 高信頼性材料実現を目指す粉体成形・焼結中の不均質構造の放射光X線トモグラフィー解析

大熊　学

本記事では，放射光X線マルチスケールCTを用いたアルミナセラミックスの焼結中の不均一な微構造および欠陥構造の進展挙動を3次的に高分解能で可視化するための事例を紹介する.

■ 光コヒーレンストモグラフィーを活用した成形・焼成プロセスの可視化

多々見純一・高橋　拓実

不透明体の内部構造を高分解能，高速，高深度で観察可能な光コヒーレンストモグラフィーを活用した，セラミックス成形体・焼結体の内部構造の可視化について述べる．

■ セラミックス焼結体の信頼性に及ぼす成形体の構造の影響

田中　諭

成形から焼結までは一連のプロセスで，焼結は成形体の粒子充填構造を礎とするため，焼結体の信頼性の向上には，成形体の粒子充填構造とそこからの構造発達過程を正しく評価することが重要である．我々の研究成果等に基づいて焼結体の信頼性低下の原因となる成形体の不均質構造を示した．

■ 焼結時の組織形成と内部応力の数値計算─工学的活用への期待─

松田　哲志・木村　禎一

積層セラミック部品の小型化に伴い，粉末粒子の局所的な不均質性が焼結挙動（組織形成/内部応力）に与える影響が大きくなる．焼結時の内部応力を可視化するために開発した焼結計算モデル及び計算結果を紹介する．

■ 成形体の粒子集合構造制御に立脚したセラミックスの常温緻密化

高橋　拓実・高橋　絵美・多々見純一

MgOを事例として成形体中の粒子集合構造制御に立脚した常温緻密化プロセスを概説する．また，その応用でSiAlON系蛍光体粒子の分散固定化とMgOの高緻密化の両立を実現し，創出した高出力半導体照明へ応用可能な高熱伝導の蛍光部材についても紹介する．

■ 静電集積粒子を用いた複合材料のマルチスケール構造設計

武藤　浩行・タン　ワイ　キアン

粉末冶金プロセスのさらなる発展を目指し，新たな材料組織制御手法を提案した．静電相互作用を用いた集積粒子を用いることで，ナノ〜マクロ（巨視）までのマルチスケールで組織制御した新規材料開発の例を紹介する．

■ 固体酸化物形燃料電池電極形成過程の計算機シミュレーション

原　祥太郎

原料粉末特性を入力とし，焼結過程で生じる微細構造の時間発展を予測するとともに，電極製造後の発電特性や機械的特性を評価できるSOFC電極製造プロセスシミュレーション技術を紹介する．

■ 窒化チタン粉末の焼結による多機能チタンの創製

菊池　将一

チタンの複数の特性改善（多機能化）を目的として，窒化チタンセラミックス粉末の焼結によってバイモーダルな窒化相を有するチタンを創製した．本稿では，バイモーダル窒化チタンの力学特性について概説する．

セラミックスアーカイブズ　透明導電膜

伊東　孝洋

新 研究室紹介　岡山大学　工学部　化学・生命系　無機物性化学研究室

岸本　昭・寺西　貴志・近藤　真矢

くろすろーど　A New Chapter of My Life in Japan

Hyunwook NAM

ほっとSpring　朝鮮半島の古都，慶州で新羅土器の製作体験─慶州民俗工芸村を訪ねて─

武原　真彦

● 第37回秋季シンポジウム研究発表募集

● 第49回学術写真賞 募集要領

● 2024年度各種表彰候補者推薦のお願い