フリーアクセス
村田 恒夫
「超セラミックス」とは,セラミックスに代表される無機物質に分子性のユニットを組み込んだ物質群のことであり,これらの融合により,従来の材料では生み出せない,革新的な物性・機能を有する新材料の創製が期待されています.学術変革領域研究(A)「超セラミックス」では,超セラミックスの材料設計学理を構築し,社会を支える新材料を生み出すべく,合成,解析・理論,物性・機能に関する研究に取り組んでいます.本特集では,超セラミックスに関する最新の研究動向などを紹介します. (特集担当委員:中村真紀)
前田 和彦
無機材料に分子種を組み込み,それによって生じる新たな自由度により革新的な機能・物性が生まれる新材料を,我々は超セラミックスと命名した.本稿では,超セラミックスのコンセプトと最近の研究例を紹介する.
本橋 輝樹・片桐 清文・タッセル セドリック・陰山 洋
機能性無機材料のフロンティアとして,分子イオンを内包したセラミックス(=「内圏型超セラミックス」)が注目を集め始めている.本稿では,分子イオン内包セラミックスの創製に向けた新規合成法についてレビューし,当該材料開発の将来展望を述べる.
鱒渕 友治
本稿では,炭酸イオンをカルボジイミドイオンに変換する手法で合成した新規正方晶BaNCNについて,環境応答発光特性とそのメカニズムについて紹介する.
大見 拓也・山本 隆文
超セラミックスにおける結晶構造制御の例として,結合終端剤として機能するチオシアン酸イオンを添加した有機-無機ハイブリッドペロブスカイト化合物について紹介する.
大谷 亮
プルシアンブルーに端を発するシアニド含有固体物質は錯体化学領域を舞台に発展してきた.近年,シアニドの配列をより高度に制御した結晶性材料開発が進められている.本稿では主に,我々のグループで開発してきた物質群について紹介する.
菊川 雄司
層状のバナジウム酸化物V2O5に見られるVO5四角錘分子アニオンユニットは,四角錘の底面を中心に向かわせ弧を描くように配列させることで発現する特異的なアニオン安定化サイトについて紹介する.
杉本 邦久・グー ジーラン・竹入 史隆・木内 久雄
超セラミックスは,無機材料に分子性のユニットを組み込んだ新しい物質材料であり,従来の構造解析手法だけでは充分に理解できないと予想される.この課題に対処するための先端計測技術を用いた高度な構造解析・評価法について述べる.
稲田 幹
材料開発研究において,構造解析は重要な位置付けにある.機能発現のためには構造と特性の関係を理解し,設計指針を立てる必要がある.本稿では,九州大学中央分析センター,ならびに,超セラミックスの構造解析に有効な共有機器を紹介する.
桑原 彰秀・イ ギョンソ・設樂 一希・小川 貴史
本稿では,第一原理計算を用いてCa添加YPO4において(PO4)3-やOH-分子アニオンユニットが関与する欠陥形成挙動とプロトン伝導機構を解析した結果について紹介する.
辻 雄太・岩井 宏樹
分子性ユニットが配置された無機材料の表面では,従来のセラミックス材料では実現できない構造や電子状態が発現すると期待される.本稿では,そのような表面特性に理論計算科学からアプローチする方法や,その適用例を紹介する.
堀毛 悟史
金属-有機構造体(MOF)やハイブリッドペロブスカイトなど,金属と分子から組み上がる構造体が示す結晶融解やガラス化は,非晶質材料としての新たな可能性を与えている.最近の当該領域の成果について紹介する.
秋吉 亮平・田中 大輔
金属イオンと架橋配位子からなる配位高分子(CP)は,金属イオンと有機配位子からなる新しい有機‐無機ハイブリッド材料である.本稿では,半導体特性を示す硫黄からなるCPの合成方法と,その機能を紹介する.
吉田 智・大幸 裕介・松岡 純
井奥 洪二
佐藤 高弘
村井 俊介・田中 勝久
Jason TAM
布谷 直義
本田 圭子