今月のオープンアクセス記事
フリーアクセス
谷口 尚
長寿命で安全性に優れた高性能な全固体二次電池の開発が進められており,イオン伝導性に優れた固体電解質と正極,負極材料との組み合わせで,さまざまな全固体二次電池が設計されている.本号では,硫化物系全固体電池の構造設計や,固体電解質―電極界面の構造設計,評価・解析,さらに,実用化に向けた取り組みについて,最近の動向を紹介する. (特集担当委員:幾原裕美・古賀英一・井手慎吾)
福岡 歩
現行のリチウムイオン電池が抱える問題点に対応する次世代電池として,全固体電池は最も有力な候補の一つである.日本国内では,近年,小容量の全固体電池から実用化され始めており,産官学が連携した国家プロジェクトが2010年代前半から継続して推進されているなど,基礎研究から実用化まで,世界をリードすべく活発な動きを見せている.本稿では,全固体電池開発の最新動向について,日本国内を中心に紹介する.
オープンアクセス
堀 智・菅野 了次
超Liイオン導電体Li10GeP2S12とその関連物質の結晶構造と特性を決める構成元素,およびこれらの物質を用いて作製した,エネルギー密度の点で魅力的な「厚膜型の全固体Li金属電池セル」について,結晶構造と電池設計を切り口にして報告する.
林 晃敏・本橋 宏大・作田 敦
高エネルギー密度が期待できる全固体リチウム-硫黄電池について,硫黄系正極とリチウム金属負極における固体界面の設計指針について紹介する.
高橋 司・宮下 徳彦
全固体電池は次世代蓄電池として注目され,中でも硫化物系全固体電池は,実用化段階を迎えている.高イオン伝導率等の優れた特徴を有するアルジロダイト型硫化物固体電解質の特徴と開発状況を紹介する.
樋口 弘幸
我々はこれまで,車載全固体電池向けのキーマテリアルとして注目されている硫化物系固体電解質に関し,独自の発想に基づく構造制御により種々の基本特性を向上させてきた.本稿ではその設計技術の一端を紹介する.
宮原 雄人・宮崎 晃平・安部 武志・黒葛原 実
液系LIB負極に広く用いられるカーボン材料を硫化物系全固体LIBへ適用する取り組みが盛んに行われている.本稿では,硫化物系全固体LIBのカーボン負極について,研究動向や材料設計の指針,当研究室の取り組みを概説する.
北村 尚斗・井手本 康
全固体電池の幅広い普及のため,安全性に優れた新規酸化物系負極材料の創製が期待されている.本稿ではこのような物質としてWadsley-Roth相のTi2Nb10O29に注目し,原子配列(中距離構造)と負極特性の関係を検討した研究を紹介する.
大谷 和史
リチウム金属負極を用いた全固体電池はエネルギー密度の観点から注目されているが,リチウム析出分布が課題となっている.本稿ではマクロなスケールにおける析出分布についてシミュレーションおよび検証結果について紹介する.
吉森 誠・山下 直人・向井 孝志・青木 崇行・有満 望
電池の高性能化の方法の一つとして,活物質粒子表面への導電性膜の付与が挙げられる.本稿では,高温焼成することなく均一にカーボンをコーティングできる転動流動層装置で導電性被覆を施したNCM正極材が,従来のNCM正極に比べて低い抵抗を示すことがわかったので報告する.
林 和志・森 拓弥
全固体リチウムイオン電池では,通常,活物質/電解質間の界面形成のために加圧処理がなされる.本報告では,近年,加圧手段として注目される温水間等方圧処理が全固体リチウムイオン電池用合材電極構造に与える影響について放射光X線CTにより調査した結果を紹介する.
宮澤 優・内藤 均・川崎 治・西浦 崇介・岡本 英丈
JAXAでは宇宙環境において全固体電池の適用を目指し研究開発を進めている.本稿では,宇宙環境耐性を持たせた全固体電池の設計検証結果等を紹介するとともに,国際宇宙ステーションを利用した宇宙実証の概要,実証結果について紹介する.
古川 一揮
全固体電池は優れた寿命特性が期待できる次世代電池である.本稿では全固体電池の長寿命化に関する取組みについて紹介する.
小玉 翔平
Alexandre Lira Foggiatto
後藤 康博・川合 秀治・伊藤 賢次・高田 宏行