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打越 哲郎
本特集では,近年大きく進歩しているシロキサン骨格を活用した材料合成戦略の最近の展開について,元素ブロック材料研究会の活動を中心に,最先端のシロキサン骨格を有する機能性材料を活用した材料合成,高機能シリカ,元素ブロック材料,有機-無機ハイブリッド材料などをご紹介いただく. (特集担当委員:幾原裕美・町田慎悟・谷口貴章・李 誠鎬,編集協力:元素ブロック材料研究会)
菅原 義之
ケイ素と酸素の間の結合であるシロキサン結合を有する機能性材料について,SiO4四面体からなるシリカとSiCO3四面体からなるポリオルガノシルセスキオキサンについて,合成と構造を中心に概説し,主なケイ素環境がSiC2O2四面体であるシリコーンとの関連性についても示す.
郡司 天博・佐藤 陽平
シロキサン化合物はアルコキシシランの加水分解により合成される.本稿ではオリゴアルコキシシランの合成とその加水分解反応,また,それから生成するポリシロキサンや薄膜材料の物性との関係を概括する.
髙橋 雅英
リン酸やホウ酸といった様々な元素酸化物ユニットをケイ酸ユニットと交互に連結した「酸化物交互共重合体」に関する合成戦略,機能設計などを解説する.
梶原 浩一
水と3官能ケイ素アルコキシドという必須原料と微量の酸触媒のみからシルセスキオキサン系有機–無機ハイブリッドが得られる無共溶媒法は,簡便で環境負荷も低く,種々の特異な性質を示す試料を与える.オリゴマーのコア-シェル構造と有機官能基の化学修飾によって発現する機能を紹介する.
松野 敬成・下嶋 敦
有機シロキサン化合物のメソスケールの構造制御により,特異な機能発現が期待できる.本稿では新たな動的機能を有する有機シロキサン系材料の設計について,筆者らの最近の研究を中心に紹介する.
金森 主祥・上岡 良太
ゾル−ゲル法により疎水性のポリ有機シロキサン(シリコーン)多孔体を作製する方法と,その柔軟な機械的性質について紹介する.
大下 浄治・安達 洋平
分岐状のネットワークポリマーであるポリシルセスキオキサンの有機置換基の検討などによって,海水淡水化やCO2分離に利用できるロバストな分離膜の開発を目指した取り組みについて紹介する.
五十嵐正安・佐藤 一彦
SiO2の基本単位であるオルトケイ酸とそのオリゴマーを「単離」し,続いてそれらをビルディングブロックとして「配列」することで水素結合性無機構造体(HIF)を開発し,さらにHIFを脱水縮合させ「結合」させることにより新規なゼオライト合成を達成した.
田中 一生・権 正行
シリカの立方体核を有するかご型シルセスキオキサン(POSS)を用いることで,様々な有機材料をハイブリッド化することができ,耐熱性や発光特性の増強も可能である.本稿では,修飾POSSによる共役系分子の物性制御について概説する.
中 建介
本稿では最近,我々が報告した二官能性ダブルデッカー型シルセスキオキサン(DDSQ)モノマーを用い数珠型高分子と不完全縮合かご型シルセスキオキサンを基盤としたシランカップリング剤の事例について概説する.
金子 芳郎
分子構造が制御されたオリゴシロキサンは,優れた熱的・化学的安定性と可溶性を兼ね備え,材料分野で注目されている.本稿では,筆者らが開発してきたイオン性基含有POSSおよび環状オリゴシロキサンの構造制御法と物性に関する成果を紹介する.
佐藤 和好
木場 祥介
西山 拡